園芸売り場で同じ棚に並ぶオルトランとオルトランDXを見比べて、違いがよく分からずどちらを買うべきか迷ってしまった経験がある方は多いのではないでしょうか。
本記事では、オルトランとオルトランDXの違いを有効成分や効き方、適用害虫と作物、効果の持続期間や価格帯まで丁寧に比較しながら、家庭の花壇や家庭菜園での上手な選び方を分かりやすく解説します。
オルトランとオルトランdxの違いをまず整理
最初に、オルトランとオルトランDXに共通するポイントと大まかな違いを整理し、どちらも浸透移行性の粒状殺虫剤であることや、成分の組み合わせや得意とする害虫の違いをざっくり把握しておきましょう。
そもそもオルトランシリーズとはどんな薬剤?
オルトランシリーズは土にばらまくだけで植物に薬剤が吸収され、株全体に行き渡る浸透移行性の殺虫剤であり、アブラムシやアザミウマなどの吸汁性害虫から、葉をかじるアオムシやヨトウムシまで幅広い害虫に効果を発揮します。
- 浸透移行性で、根から吸収されて株全体に有効成分が行き渡る
- 粒剤タイプなので、葉裏までスプレーしにくい場面でも使いやすい
- 雨や水やりで流されにくく、効果が比較的長く続きやすい
このようにオルトランシリーズは、散布の手間を減らしながら長期間害虫を抑えられることから、家庭園芸で定番の殺虫剤として長く愛用されている商品群です。
オルトラン粒剤とオルトランDX粒剤の基本スペック比較
同じオルトランシリーズでも、一般的にオルトラン粒剤と呼ばれる製品と、オルトランDX粒剤とでは有効成分の構成が異なり、その違いが効き方や得意な害虫の範囲に影響しています。
- オルトラン粒剤は、有効成分がアセフェートのみの単剤タイプ
- オルトランDX粒剤は、アセフェートにクロチアニジンを加えた二成分タイプ
- どちらも粒剤で、株元にばらまいて使う点は共通している
つまりオルトランDX粒剤は、従来のオルトラン粒剤にもう一つ浸透移行性の殺虫成分をプラスした設計であり、葉につく虫と土の中の虫を同時に狙いやすいよう強化されたタイプと考えるとイメージしやすいでしょう。
家庭園芸でよくある「どっちを使う?」シーン
実際の売り場ではオルトラン粒剤とオルトランDX粒剤が並んでいることが多く、バラ用なのか花壇用なのか、あるいは野菜にも使えるのかなど、具体的なシーンを想像しながら選ぶと違いが分かりやすくなります。
- 花壇やプランターの草花全体にアブラムシが出やすいとき
- バラにつくゾウムシやハバチなど、バラ特有の害虫をしっかり防ぎたいとき
- トマトやなす、きゅうりなど家庭菜園の株元の害虫も気になるとき
こうした場面ごとに、広くいろいろな作物で使いやすいオルトラン粒剤を選ぶか、バラや草花の害虫対策に特に強いオルトランDX粒剤を選ぶかを考えることで、より効果的で無駄の少ない防除ができるようになります。
有効成分と効き方の違いをチェック
続いて、オルトランとオルトランDXの最も根本的な違いである有効成分と、その成分がどのように効くのかという点を押さえることで、それぞれの得意分野や使い分けのイメージがぐっとクリアになります。
オルトラン粒剤の有効成分と特徴
オルトラン粒剤は有効成分として有機リン系殺虫成分のアセフェートを約五パーセント含んでおり、根や葉から吸収されて植物体内を移動し、作物の汁を吸ったり葉を食べたりした害虫に作用して退治する浸透移行性殺虫剤です。
- アセフェート単剤のため、性質が比較的シンプルで扱いやすい
- 吸汁性害虫とそしゃく性害虫のどちらにも幅広く効果を示す
- 草花だけでなく、野菜や芝生、低木など多くの作物に登録がある
古くから使われてきた成分なので実績が豊富であり、さまざまな植物に使える一方で、長年の使用により一部のアブラムシでは効きにくさが指摘されることもあり、状況に応じた使い方が大切になります。
オルトランDX粒剤のW成分と特徴
オルトランDX粒剤はアセフェートに加えてネオニコチノイド系殺虫成分のクロチアニジンを組み合わせた粒剤であり、二種類の浸透移行性成分が株全体と土壌中の両方で効くよう設計されています。
- アセフェート2.5%とクロチアニジン0.5%を配合している
- 葉につくアブラムシ類やコナジラミ類に強い効果を発揮しやすい
- 土の中のコガネムシ類幼虫などにも効果が期待できる
二つの有効成分を組み合わせることで、葉の表面や裏側だけでなく根の周りの害虫にも対応しやすくなり、特にバラや草花の鉢植えなどで一度の散布で広い範囲の害虫をカバーしたい場面に向いた設計と言えるでしょう。
成分の違いから見える得意な害虫
アセフェート単剤のオルトラン粒剤と、アセフェートとクロチアニジンを組み合わせたオルトランDX粒剤では、どちらも広い範囲の害虫に効くものの、特に得意とする害虫の傾向に少し違いがあります。
- オルトラン粒剤は、花や野菜全般のアブラムシ類やアザミウマ類に広く使いやすい
- オルトランDX粒剤は、バラゾウムシやチュウレンジハバチなどバラ特有の害虫にも対応しやすい
- オルトランDX粒剤は、コガネムシ類の幼虫など土中害虫にも効果が期待される
そのため、庭や菜園全体でいろいろな作物を育てていて幅広く使いたいならオルトラン粒剤が便利であり、バラや草花の害虫を重点的に防ぎたいならオルトランDX粒剤を選ぶという使い分けがしやすくなります。
とはいえ成分や害虫の違いだけを聞いても具体的なイメージが湧きにくいので、ここで一度初心者さんと専門家の会話形式で、どんなときにどちらを選ぶと良いのかを整理してみましょう。

バラを中心に育てていてつぼみや新芽の害虫が特に気になるなら、まずはオルトランDX粒剤を一つ常備しておくと安心ですよ

なるほど、うちみたいに花壇も菜園も両方ある場合は、オルトランとDXをシーン別に使い分ける感じが良さそうだね
このように、自分の庭で一番守りたい植物や困っている害虫をイメージしながら選ぶと、オルトランとオルトランDXの違いがぐっと分かりやすくなり、無駄のない防除計画が立てやすくなります。
適用害虫と適用作物の違いを比較
次に、ラベル上でどの作物にどの害虫まで使えるのかという適用害虫と適用作物の違いを確認し、オルトランとオルトランDXを実際の花壇や家庭菜園でどのように使い分けるかをイメージしやすくしておきましょう。
オルトラン粒剤が使える作物と主な害虫
家庭園芸用オルトラン粒剤は、草花や観葉植物はもちろん、一部の野菜や芝生、背丈一メートル程度までの庭木など、幅広い植物に登録があり、さまざまな場面で汎用的に使えるのが大きな特徴です。
- 草花・花壇苗・鉢花などのアブラムシ類やアザミウマ類
- 野菜類のアブラムシやアオムシ、ヨトウムシなどのそしゃく性害虫
- 芝生や低木類の一部害虫にも使えるため庭全体で活躍しやすい
このようにオルトラン粒剤は、バラに特化するというよりも庭や菜園全体を広くカバーするイメージで、複数の植物に同じ薬剤を使って管理したい方に向いている基本の一袋といえます。
オルトランDX粒剤が活躍する作物と主な害虫
一方のオルトランDX粒剤は、花き類や観葉植物、トマトやなす、きゅうりなどの野菜に登録があり、特にバラにつくバラゾウムシやチュウレンジハバチなどの害虫にもしっかり対応できる点が特徴です。
- バラにつくアブラムシ類やチュウレンジハバチ、バラゾウムシなどの害虫
- 草花や鉢植えのアブラムシ類、コナジラミ類、ハモグリバエ類など
- トマトやなす、きゅうりなどの根元を狙うコガネムシ類幼虫など土中害虫
葉につく害虫と土の中の害虫を一度に防除できるため、花壇の草花とその根元を荒らす害虫をまとめてケアしたい場合や、バラの鉢植えをしっかり守りたい場合には、オルトランDX粒剤の方が心強い選択肢になります。
バラや花壇・家庭菜園での使い分けのコツ
バラや草花、家庭菜園など複数のエリアを持つ庭では、同じ場所にいつも同じ薬剤だけを使うのではなく、オルトラン粒剤とオルトランDX粒剤の特性を生かしてエリアごとに薬剤を使い分けると、防除効果とコスパのバランスが良くなります。
- 家庭菜園全体には汎用性の高いオルトラン粒剤を中心に使う
- バラや草花の鉢植えには、バラ害虫にも強いオルトランDX粒剤を選ぶ
- 毎回どちらか一方だけに偏らず、シーズンごとに使い分けを検討する
このように使い分けを意識すると、それぞれの薬剤の得意分野を活かしながら、必要以上に薬剤を増やさずに済み、結果として保管スペースや費用の面でも無理のない害虫対策ができるようになるでしょう。
使い方と効果の持続期間の違い
オルトランとオルトランDXはどちらも粒剤で基本的な使い方はよく似ていますが、効果の続く期間や散布のタイミングをどう考えるかによって使い勝手が変わるため、この章では安全な使い方と持続期間の目安を整理します。
粒剤ならではの使い方の基本手順
オルトラン粒剤やオルトランDX粒剤はいずれも株元の土の表面に規定量をばらまいてから軽く土と混ぜ、たっぷりと水やりをして根から吸収させるのが基本であり、ラベルの用法用量を守ることが何より大切です。
- 事前にラベルを読み、対象作物と害虫、使用量を必ず確認する
- 株元の土の表面にむらなく均一に粒剤をばらまく
- 散布後はすぐに水やりをして、粒が土の中に落ちるようにしておく
粒剤は葉の裏まで届かない代わりに、根から吸収させて植物体内に薬剤を行き渡らせる仕組みなので、散布時には風の少ない日を選び、子どもやペットが触れない場所で安全に取り扱うことも忘れないようにしましょう。
効果が続く期間と散布タイミングの考え方
一般的にオルトラン粒剤の効果はおおよそ二〜三週間程度、オルトランDX粒剤ではアブラムシに対して約一カ月程度の残効が目安とされており、季節や株の大きさによっても持続期間は変化します。
- 春から初夏の害虫の発生が始まる前にあらかじめ株元に施しておく
- 新芽やつぼみが増えるタイミングに合わせて再度散布を検討する
- 真夏など高温期は植物への負担も考え、ラベルの間隔を必ず守る
効果が切れそうだからといって自己判断で散布回数を増やしすぎるのではなく、表示されている使用回数や間隔を守りながら、必要なタイミングに計画的に使うことで、安全性と防除効果の両方を確保することができます。
とくにバラを育てていると、一度害虫が増えると慌てて何度も薬剤をまきたくなりますが、ここで一度落ち着いて、効果の持続期間を踏まえた計画的な散布スケジュールを立てることが大切です。

次の散布までの目安をカレンダーに書き込んでおくと、まき忘れもまきすぎも防げて、植物にもお財布にもやさしい管理になりますよ

それいいね、スマホの予定にも入れておけば、オルトランとDXを交互に使うタイミングも忘れずに済みそうだよ
このように少し先の予定を意識しながら薬剤を使う習慣をつけておくと、オルトランとオルトランDXの違いを活かしつつ、無理なく続けられる害虫対策のリズムが自然と身についていきます。
他の防除方法との組み合わせ方
粒剤だけに頼るのではなく、手でつぶせる害虫は見つけたときに取り除いたり、防虫ネットや黄色い粘着トラップを併用したりすることで、薬剤の使用量を抑えながら効率よく害虫を管理することができます。
- アブラムシやヨトウムシは、見つけたものはできるだけ手で取り除く
- トンネル栽培では防虫ネットを張り、物理的に害虫の侵入を防ぐ
- 同じ成分の薬剤ばかり連用せず、シーズンごとに対策を見直す
また他の殺虫剤や殺菌剤を同時に使う場合は、混ぜて使って良いかどうかを自己判断せず、それぞれのラベルやメーカーの情報を確認し、安全面に不安があれば無理に併用せず時期をずらすなど慎重な対応を心がけましょう。
価格・入手性と選び方のポイント
最後に、ホームセンターや園芸店での価格帯や入手しやすさも含めて、オルトランとオルトランDXのどちらを先に買うべきか、どのような基準で選ぶと失敗しにくいかという実用的な視点から整理していきます。
容量・単価から見るオルトランとオルトランDX
一般的にオルトランDX粒剤は、同じ容量で比べるとオルトラン粒剤よりやや価格が高めに設定されていることが多いものの、二種類の有効成分と効果の持続性を考えると十分に納得感のある価格帯といえます。
- オルトラン粒剤は、容量当たりの単価が比較的抑えめでコスパ重視向き
- オルトランDX粒剤は、やや高価だが害虫スペクトルと残効性で優れる
- どちらもホームセンターやネット通販で入手しやすい定番商品
庭全体で広く使う基本薬としてはオルトラン粒剤を常備しつつ、バラやコンテナの草花など重点的に守りたい場所にはオルトランDX粒剤を追加するなど、用途に応じて二本立てでそろえておくと安心感があります。
初心者が選ぶときのチェックポイント
初めてオルトランシリーズを買う場合は、まず自分が育てている植物の種類と数、今一番困っている害虫が何かを整理し、その上で商品パッケージの適用作物と害虫の欄を確認しながら選ぶのがおすすめです。
- 庭やベランダで育てている植物のリストを書き出してみる
- 今一番被害が目立つ害虫が葉なのか土なのかをチェックする
- パッケージの適用作物と適用害虫に、自分の環境が含まれているか確認する
もし迷ったら、まずは汎用性の高いオルトラン粒剤から始めてみて、バラや草花の害虫が多いと感じるようになった段階で、オルトランDX粒剤を追加で導入するというステップアップ方式も無理がなくておすすめです。
安全に使うために共通して守りたい注意点
オルトラン粒剤とオルトランDX粒剤に限らず、家庭園芸用の農薬を使う際には、必ずラベルに書かれた使用方法を守り、子どもやペットが触れない場所で保管し、散布後の食用作物には収穫前日数などの決まりを守ることが重要です。
- 使用前にラベルを最後まで読み、禁止事項や注意書きを確認する
- 手袋やマスクなどを着用し、散布後はよく手洗いを行う
- 余った薬剤は食品と区別し、子どもの手の届かない場所に保管する
また農薬の登録内容や使用基準は改訂されることがあるため、古い情報だけを頼りにせず、購入した商品のラベルやメーカーの公式サイトなどで最新の情報を確認しながら、安全第一で上手に付き合っていきましょう。
まとめ
オルトランとオルトランDXの違いは、有効成分が一種類か二種類かという設計の違いから、適用害虫や作物、効果の持続期間や価格帯のバランスにまで広がっており、自分の庭やベランダの環境に合った方を選ぶことが何より大切です。
いかがでしたか?オルトランとオルトランDXの違いを押さえておくことで、無駄なく効果的に害虫対策ができるようになり、大切な花や野菜を長く元気に育てるための心強い相棒として、安心して上手に活用できるはずです。

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