小さなマーガレットのような花をこんもりと咲かせるマトリカリアは、ナチュラルガーデンやブーケに欠かせない存在ですが、夏に弱いイメージがあり育て方に不安を感じる方も多いかもしれません。
本記事では、マトリカリアの育て方の基本から環境づくり、水やりと肥料、植え付けや植え替え、夏越し冬越しのコツ、病害虫対策までを順番に解説し、初心者でも元気に咲かせられるポイントを詳しく紹介します。
マトリカリアの育て方の基本ポイント
マトリカリアは日当たりと水はけの良い環境を好み、比較的乾燥には強い一方で過湿に弱い性質があるため、この特徴を押さえたうえで一年の流れをイメージして管理することが育て方の第一歩になります。
マトリカリアとはどんな花か
マトリカリアはキク科の多年草で、カモミールに似た小さな白い花を株一面に咲かせ、フワッとしたシルエットと爽やかな香りで花壇や寄せ植え、切り花のどれでも活躍してくれる万能なガーデンプランツです。
- 小さな一重や八重の花がこんもり咲く
- 草丈は品種にもよるが20〜60cmほど
- 黄色やクリーム色など花色のバリエーションも豊富
主役のバラや一年草の合間をふんわりと埋めてくれるマトリカリアは、花が少ない時期のつなぎ役にもなり、ガーデンに動きとリズムを生み出してくれる頼もしい名脇役として重宝されます。
一年草扱いか多年草かの違い
マトリカリアは本来は耐寒性のある多年草ですが、日本の高温多湿の夏が大きな負担となり、暖地では夏越しに失敗して枯れてしまうことも多いため、実際の栽培では一年草扱いにするケースがよく見られます。
- 夏の蒸れや過湿で株が弱りやすい
- 冷涼地では多年草として数年維持しやすい
- 暖地では秋まき〜初夏開花の一年草サイクルが基本
無理に夏越しを狙って株を引きずるより、秋に種や苗を新しく用意して翌春から初夏にかけてたっぷり咲かせると割り切ると、花付きのよい株を毎年安定して楽しみやすくなります。
切り花や寄せ植えで楽しむ魅力
マトリカリアは一本ずつ見ると素朴な花ですが、花壇では群植すると白いレースのような雰囲気になり、切り花ではブーケやスワッグの隙間を埋めて全体をふんわりまとめてくれるため、アレンジ面での使い勝手も抜群です。
- 小輪で他の花の色を邪魔しにくい
- 花首がしっかりしていてアレンジに入れやすい
- ドライフラワーやリース材料としても人気がある
家庭の花壇でたくさん咲かせておけば、日常のテーブルフラワーからギフトブーケまで気軽に使えるようになるので、育て方を覚えておくとフラワーライフの幅がぐっと広がります。
マトリカリアに適した環境と土づくり
マトリカリアを丈夫に育てるには、日当たりと風通し、水はけの三つの条件を整えることが重要で、鉢植えでも地植えでも蒸れない環境とやや乾き気味の土を意識して準備しておくと、その後の管理が格段に楽になります。
日当たりと風通しのよい置き場所
マトリカリアは基本的に日当たりの良い場所を好み、一日を通してよく日の当たる場所で育てると株が締まり花付きも良くなりますが、真夏の直射日光と熱気は負担が大きいため、暑い地域では明るい半日陰に移動させると安心です。
- 春と秋はよく日の当たる場所で育てる
- 風通しの悪い場所は蒸れや病気の原因になる
- 真夏は午前中だけ日に当たる半日陰に避難させる
鉢植えなら季節ごとに置き場所を動かしやすいので、春は日向、真夏は明るい日陰、秋は再び日向というように、気温や日差しの強さに合わせて柔軟に環境を調整してあげましょう。
鉢植えに使いやすい培養土配合
鉢植えのマトリカリアには、水はけのよい草花用培養土かハーブ用の土が向いており、自分で配合するなら赤玉土と腐葉土、軽めの資材を混ぜてふかふかで通気性のある土に整え、過湿による根腐れを防ぐことが大切です。
- 市販の草花培養土またはハーブの土を使う
- 自作する場合は赤玉土と腐葉土を基本にする
- パーライトやバーミキュライトで水はけを高める
マトリカリアは酸性土壌を嫌うため、酸性に傾いた庭土やピートモス多めの培養土を使う場合は、植え付け前に少量の苦土石灰を混ぜて中和しておくと、根張りが良くなり株も安定して生育しやすくなります。
地植えにするときの土壌改良
地植えでマトリカリアを育てる場合は、植え付け予定地をスコップで深く掘り起こし、硬い土であれば腐葉土や堆肥をしっかりとすき込んで水はけと通気性を高め、同時に緩効性肥料を元肥として混ぜ込んでおきます。
- 植え付けの一〜二週間前に土づくりを行う
- 粘土質の土には川砂やパーライトも加える
- 酸性が強い場合は苦土石灰で中和しておく
植え付け前にしっかりと土壌改良をしておくと、根が深く広がって乾燥にも強くなり、多少水やりが遅れても株がへたりにくくなるため、最初のひと手間を惜しまないことがマトリカリアの育て方のコツと言えます。

日当たりと水はけを整えてあげるだけでマトリカリアはぐんと育てやすくなりますので、お庭のどこなら条件が合うか一度じっくり見直してみてください

つい空いている場所に植えちゃうけど、ちゃんと日当たりとか風通しを考えてあげたら今よりずっと元気に咲いてくれそうでワクワクするね
環境づくりの段階でマトリカリアに合う場所を選んでおけば、その後の水やりや肥料の加減もシンプルになり、トラブルが起きたときの原因も見つけやすくなるため、最初の計画づくりがとても重要になります。
水やりと肥料のコツ
マトリカリアは乾燥気味を好み過湿に弱いという性質があるため、水やりは「控えめだがメリハリをつけて与える」ことがポイントで、肥料も与え過ぎると徒長しやすいので、少なめを意識した管理が健全な株づくりにつながります。
鉢植えの水やり頻度とタイミング
鉢植えのマトリカリアは、土の表面がしっかりと乾いてから鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えるのが基本で、常に湿った状態にすると根が酸欠気味になり、根腐れや蒸れの原因になるので注意が必要です。
- 指で土を触って乾き具合を確認してから水やりする
- 受け皿に溜まった水はそのままにしない
- 花や葉にかけず株元に静かに注ぐように与える
真夏は朝か夕方の涼しい時間帯に水やりし、日中の高温時に与えると一気に蒸れて弱ることがあるため、気温と日差しを意識しながら、メリハリのある水やりリズムを身につけることが大切になります。
地植えの水やりと夏場の乾燥対策
地植えのマトリカリアは、植え付け直後から根付くまでは土の表面が乾いたらしっかり水やりし、その後は降雨だけで足りることが多く、何日も雨が降らない時期や極端な乾燥が続く場合のみ補助的に水を与えれば十分です。
- 植え付け直後は根の乾燥を防ぐためこまめにチェック
- 梅雨明け後の高温期は朝の様子を確認してから水やり
- 株元をマルチングして乾燥と泥はねを防ぐ
庭植えでは水やりの回数よりも水はけと風通しが重要で、梅雨時に水がたまる場所や、隣の植物と密植していると蒸れの原因になるため、植え付けの段階で余裕を持った間隔と高めの植え床を意識しておきましょう。
肥料の与え方と与え過ぎの注意点
マトリカリアの肥料は植え付け時に元肥として緩効性肥料を混ぜ込み、その後は春と秋に少量を追加する程度で十分で、肥料を多くし過ぎると葉ばかり茂って倒れやすくなったり、花付きがかえって悪くなることがあります。
- 植え付け時にゆっくり効く粒状肥料を土に混ぜる
- 生育期の春と秋に控えめな追肥を行う
- 液肥を使う場合は薄めの濃度で様子を見ながら与える
肥料は「足りないかな」と不安になるくらいの控えめな量から始め、葉色が薄くなったり生育が極端に悪いときに少しずつ増やすイメージで調整すると、肥料焼けや徒長を防ぎながらバランスよく育てられます。
植え付け・植え替えと増やし方
マトリカリアの植え付けや植え替えは、根が動きやすい春と秋が適期で、このタイミングでしっかりと土づくりと株の状態を整えておくと、その後の花付きや夏越しの成功率に大きく影響するため、丁寧な作業が重要です。
苗の選び方と植え付けの手順
苗を購入するときは葉色が濃く、株元まで葉が詰まっていてぐらつきのないものを選び、黄色くなった下葉や黒ずんだ根が見えるものは避け、植え付け時には根鉢を軽くほぐして新しい土になじませるように植え付けます。
- ポット裏から白い根がほどよく伸びている苗を選ぶ
- 根がカチカチの苗は軽くほぐしてから植える
- 鉢の縁から少し下げた位置に土の表面が来るようにする
最後に鉢底から水が流れ出るまでたっぷり水やりして土をなじませ、ぐらつきがある場合は株元に軽く土を寄せて固定し、数日は強い直射日光を避けた明るい日陰で慣らしてから本来の置き場所に移動すると安心です。
植え替えの適期と根鉢の扱い
鉢植えのマトリカリアは、根が鉢いっぱいに張って水のしみ込みが悪くなってきたら一回り大きな鉢に植え替えるか、同じ鉢を使う場合は根鉢の外側を少し切り戻して新しい土を足し、根に新しいスペースを確保します。
- 植え替えの適期は春の三〜四月頃が目安
- 根鉢をほぐし過ぎないように表面だけ軽く崩す
- 植え替え後は風の強い日や直射日光を避けて管理する
マトリカリアは連作を嫌う一面もあるため、毎回同じ土や同じ場所に植え続けるより、植え替えや植え付けの際に土を入れ替えたり場所をローテーションさせることで、疲れた土をリセットし健全な生育を保ちやすくなります。
種まきで増やすときのコツ
マトリカリアを種から育てる場合は、秋の九〜十月頃が種まきの適期で、浅いトレイやポットにまき土を用意し、細かい種をばらまきしてごく薄く土をかけ、乾かさないように管理すると発芽がそろいやすくなります。
- 発芽までは直射日光を避けた明るい日陰で管理する
- 乾燥防止に新聞紙や不織布で軽く覆うと安心
- 本葉二〜三枚で間引きし元気な苗を残す
発芽後は日当たりの良い場所で徐々に慣らし、根が回ってきたら一株ずつポットに鉢上げして冬の間にしっかり苗を育てておくと、春の植え付け時にはがっちりした株になり、初夏には花壇を埋め尽くすほどの花を期待できます。

苗からでも種からでも育て方の基本は同じですので、最初は苗で試して慣れてきたら種まきにも挑戦してみると、ガーデニングの楽しみがさらに広がりますよ

苗でうまくいったら次は種まきにもチャレンジしてみたいな、自分で育てた株が一面に咲いたら絶対うれしくて写真いっぱい撮っちゃうと思う
植え付けや植え替え、種まきの流れを覚えておけば、毎年好みのタイミングでマトリカリアを花壇や鉢に迎えられるようになり、庭全体のデザインも計画的に組み立てやすくなります。
病害虫・トラブル対策と長く楽しむコツ
マトリカリアは比較的丈夫な植物ですが、環境が合わないとアブラムシやハダニが発生したり、夏の高温多湿で株が蒸れて弱ることがあるため、早めの観察と予防を心がけておくことで、長い期間きれいな姿を保てます。
よく出る害虫と発生しやすい環境
新芽やつぼみにアブラムシが群がったり、乾燥が続くと葉裏にハダニが発生しやすくなるため、マトリカリアの株を日頃からよく観察し、発生初期のうちに手や水で洗い流すなどこまめな対処を行うことが重要です。
- アブラムシは新芽や花首に付きやすい
- ハダニは乾燥した環境で葉裏に発生しやすい
- 風通しが悪いと害虫や病気のリスクが高まる
軽い発生なら指でつまんで取り除いたり、霧吹きで葉裏に水をかけて洗い流すだけでも十分効果があり、被害が広がりそうなときだけ薬剤を検討するというスタンスで、できるだけ早い段階で対策をとるようにしましょう。
蒸れ・根腐れを防ぐ風通しの工夫
マトリカリアは多湿に弱く、長雨や真夏の高温期に株元がいつも湿っていると根腐れや蒸れによる枯れ込みが起こりやすいため、植え付け時の間隔を広めにとり、必要に応じて切り戻しを行って風通しを確保します。
- 株と株の間は余裕を持たせて植える
- 込み合った枝や花がらはこまめに切り取る
- 梅雨どきは雨の当たり過ぎる場所を避ける
花がひと通り咲き終わったタイミングで思い切って株元近くまで切り戻すと、新しい芽が吹いて株の更新にもなり、夏前に風通しの良いコンパクトな姿に整えられるため、蒸れと病気の予防に大きな効果があります。
夏越し・冬越しで気をつけたいこと
夏越しはマトリカリアにとって最大のハードルで、花後に株を短く切り戻し、雨の当たらない風通しの良い明るい日陰で乾き気味に管理することで成功率が上がり、冬は霜や寒風を避ける簡単な防寒をしておくと安心です。
- 夏は直射日光と熱気を避けて明るい日陰に移動する
- 長雨が続く時期は軒下など雨の当たらない場所で管理
- 冬は寒風を避けマルチングや不織布で根を保護する
暖地では一年草と割り切って育てる方法も現実的ですが、状態の良い株を選んで夏越しや冬越しに挑戦してみると、上手くいったときの達成感も大きく、自分の庭環境に合った管理スタイルを探るきっかけにもなります。
まとめ
マトリカリアの育て方は、日当たりと水はけに優れた環境を整え、乾燥気味の水やりと控えめな肥料を心がけ、季節ごとに置き場所や切り戻しを調整して蒸れや害虫を防ぐことで、初夏の花壇やブーケを長く彩る頼もしい存在に育てられます。
いかがでしたか?マトリカリアの育て方の流れや環境づくりのポイントを押さえておけば、鉢植えでも地植えでもふんわりと咲く姿を気軽に楽しめますので、無理のない範囲で実践しながら自分なりの育て方を少しずつ見つけてみてください。



コメント